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初心に戻り塩・砂糖・ブラックペッパーだけの自家製ベーコン (2023-02-09)

  

塩・砂糖・ブラックペッパーだけで仕込んでも美味いベーコンが作れるハズだ

 

前回はスパイスたっぷりで長期塩漬けのベーコンを作ったが、イマイチな出来栄えだった。 2週間というやや長めの塩漬けが悪かったというよりは、スパイスたっぷりなのが問題だったように思う。 約1kgの肉に、オレガノ・タイム・ローズマリー・バジルをそれぞれ2.5gほど使った。

なお、スパイスの量ではなく質が悪かった可能性もある。 なんせ、使ったスパイスはS&BやGABANではなかったのだ。 10gの瓶詰めで98円だったかな。 そんな激安のスパイスが悪かったのかもしれない。

そこで今回は、塩・砂糖・ブラックペッパーだけで塩漬けしてみようと思う。 塩・砂糖・ブラックペッパーだけで仕込むベーコンは、いつぶりだろうか。 初めて作ったベーコン以来かな。

初めての自家製ベーコンは結構美味かった

思い返してみると、初めて作ったベーコンは結構美味かった。 燻製器はいい加減で、ダイソーの片手鍋の上に "ふるい" を乗せて肉を置き、フタをしただけのものだった。 また、スモークウッドではなくスモークチップを使ったため、中の温度は90℃を軽く超えた。 おまけに燻煙時間も短く、30分ほどだったと思う。

そんないい加減なやり方で作ったベーコンだったが、それでも美味かった。 結局、(変に凝らずに)単純な方法で調理する方が失敗が少ないのかもしれない

ブランデーを入れたり、スパイスに凝ったり、というのは燻製ガチ勢の上級者向けであり、自分のようなお手軽燻製男にはシンプルな方が良さそうだ。

使用する食材・機材

使用する食材・機材は以下の通り。 なお、塩や砂糖・キッチンペーパーやフリーザバッグ・アルミホイル・鍋やキッチンばさみなど、ほとんどの家庭で常備されているものは省略している

- 必ず必要なもの -
  1. 豚バラブロック肉
  2. 燻製器
  3. スモークウッド
- 無くてもいいがあれば便利なもの -
  1. ブラックペッパー
  2. ピチットシート
  3. トーチ
- 温度管理しない(または手作業で温度管理する)なら無くてもいいもの -
  1. 電熱器
  2. サーモスタット

準備

準備する食材は、豚バラブロック肉と塩・砂糖・ブラックペッパーのみである。 ブラックペッパー以外のスパイスは使わない。

心配なのは豚バラブロック肉が手に入るかどうかだ。 最近は豚バラブロック肉を見かけることが少なくなり、行きつけのスーパーでは売り切れていることも多い。

少し足を伸ばして業務スーパーに行ってみると、なんと、1パック約700gという幅広の豚バラブロック肉が売っていた。 精肉店ならともかく、スーパーでこんな幅広の豚バラブロック肉に出会えるとは驚きだ。

業務スーパーで売っていた幅広の豚バラブロック肉画像を拡大する
業務スーパーで売っていた幅広の豚バラブロック肉

約700gもあるこんな幅広の豚バラブロック肉を買ったのは初めてだ。 というより、出会ったのも初めてだった。

肉の重量の4%の塩・2%の砂糖・適量のブラックペッパー画像を拡大する
肉の重量の4%の塩・2%の砂糖・適量のブラックペッパー

肉の重量の4%の塩と2%の砂糖、さらに適量のブラックペッパーを用意する。 ブラックペッパーは、挽いたものとホールのままのものを混ぜている

  
塩はヒマラヤ岩塩と食卓塩が半々である。 途中でヒマラヤ岩塩がなくなったため、そうなった。

下処理

続いて下処理を行う。 本格派のガチ勢の方々は、

  1. 余分な脂肪を取り除く
  2. 筋切りする

という手間をかけている方も多いが、自分はそこまではしない。 圧力鍋で調理すると脂肪の部分がトロトロで美味しくなるので、あえて脂肪は残している。

  
使い捨てポリ手袋をはめて、素手で肉に触らないように作業しよう。 以降の作業では肉を素手で触らないように。 もちろん、肉を傷めないため。
フォークで穴を開ける画像を拡大する
フォークで穴を開ける

肉にフォークで穴を開けるだけ、これで下処理は完了だ。 なお、側面や脂肪の面にも穴を開けている

塩漬け

続いては塩漬けだ。 ブランデーなどは使わずに塩・砂糖・ブラックペッパーのみで塩漬けする。

ボウルに入れた肉に塩・砂糖・ブラックペッパーをまぶす画像を拡大する
ボウルに入れた肉に塩・砂糖・ブラックペッパーをまぶす

ボウルに肉を入れ、塩・砂糖・ブラックペッパーをまぶす。 バットやトレーだと調味料が飛び散りやすいので、深さのあるボウルがオススメだ

塩・砂糖・ブラックペッパーをすり込む画像を拡大する
塩・砂糖・ブラックペッパーをすり込む

まぶした塩・砂糖・ブラックペッパーを手ですり込んでいく。 浸透圧の関係で水分が出てきているのがわかる。

ラップで肉を包む画像を拡大する
ラップで肉を包む

しっかりと調味料をすり込んだら、次にラップで肉を包む。 できるだけ空気に触れないようにラップを肉に密着させる

フリーザバッグに入れる画像を拡大する
フリーザバッグに入れる

さらにフリーザバッグに入れる。 空気を押し出してから口を閉じる。

冷蔵庫で3日間ほど寝かせる画像を拡大する
冷蔵庫で3日間ほど寝かせる

冷蔵庫に入れて3日間ほど寝かせる。

塩抜き

一番難しい工程である "塩抜き" を行う。 どの場所でも "ほぼ同じ" 塩分になるように塩抜きしなくてはならない。

なお、塩漬けは3日間の予定だったが、時間が確保できず4日が経過してしまった

4日間塩漬けした肉画像を拡大する
4日間塩漬けした肉

4日間塩漬けした肉を冷蔵庫から取り出す。 塩漬け期間が短かったため、鮮やかな色を保っている

  
過去に2週間塩漬けしたことがあるが、その時は肉の色が黒っぽくなってしまった。
流水で塩・砂糖・ブラックペッパーを洗い流す画像を拡大する
流水で塩・砂糖・ブラックペッパーを洗い流す

肉についている塩・砂糖・ブラックペッパーを流水で洗い流す。

水を張った鍋に肉を入れる画像を拡大する
水を張った鍋に肉を入れる

調味料を洗い流したら、水を張った鍋に肉を入れる。 大きい鍋の方が塩抜きが早く進む。 なお、底が平たい鍋の方が均一に塩が抜けるのでオススメである。

  
肉の一部が黒く変色しているが、これはホール状のブラックペッパーが触れていた部分であって傷んでいるわけではない。
  
鍋底に足付きの網を置き、その上に肉を置くと塩抜きがさらに早く進む。 水に溶け出した塩分は下に沈むためだ。
鍋ごと冷蔵庫に入れて塩抜きする画像を拡大する
鍋ごと冷蔵庫に入れて塩抜きする

鍋ごと冷蔵庫に入れて塩抜きする。 4時間後に味見する。

端を切ってフライパンで焼いて塩加減を確認する画像を拡大する
端を切ってフライパンで焼いて塩加減を確認する

4時間が経過したので、端を切ってフライパンで焼いて塩加減を確かめる。 ほとんど塩味がしないぐらいになっていれば完了である。

  
今回は、さらに2時間の追加の塩抜きが必要だった。 なお、追加の塩抜きの前に鍋の水は入れ替えた。

乾燥

計6時間の塩抜きで、いい塩加減になった。 続いては、一番大切な "乾燥(脱水)" の工程だ。 脱水不足の食材を燻煙すると酸っぱくなってしまうので乾燥はとても大切である。

キッチンペーパーで水気を拭き取る画像を拡大する
キッチンペーパーで水気を拭き取る

キッチンペーパーで肉の表面の水分を拭き取る。 ピチットシート(脱水シート)を利用するので、ここでは大まかに水気を拭き取れば良い

乾燥前の肉の表面画像を拡大する
乾燥前の肉の表面

乾燥前の肉の表面には "ブヨブヨ感" がある。 傷んでいるのではないかと心配になるが、乾燥前の肉の表面はこんなものである

ピチットシートで包む画像を拡大する
ピチットシートで包む

ピチットシートで肉を包む。 ピチットシートが肉に密着しづらい場合は、ラップで包んだり、フリーザバッグに入れるのがいいだろう

  
輪ゴムをかけるのもいいが、それだと跡が残ってしまう。
バットに乗せて冷蔵庫へ入れる画像を拡大する
バットに乗せて冷蔵庫へ入れる

バットに乗せて冷蔵庫へ入れる。 2日間かけて脱水する予定だ。

3日間の脱水後の肉画像を拡大する
3日間の脱水後の肉

3日間の脱水を終えた肉を取り出す。 予定では2日間の脱水のつもりだったが、時間が取れなかったため3日間になってしまった

肉の表面が飴色になっている画像を拡大する
肉の表面が飴色になっている

脱水を終えた肉だ。 肉の表面がツヤのある飴色になっている。 うん、いい感じに脱水できている。

燻煙

いよいよ、最後の工程の "燻煙" だ。 スモークウッドを2本使うので、燻煙時間は2時間半ぐらいだろうか。

燻製器に肉を置く画像を拡大する
燻製器に肉を置く

燻製器に肉を置く。 ひとまず脂肪の面を下にしているが、2本目のスモークウッドを足した時に天地をひっくり返す予定だ

着火したスモークウッドを入れる画像を拡大する
着火したスモークウッドを入れる

着火したスモークウッドを入れる。 定番の『さくら』のスモークウッドだ。

スモークウッドにアルミホイルを被せる画像を拡大する
スモークウッドにアルミホイルを被せる

垂れた脂がかからないように、スモークウッドにアルミホイルを被せる。 脂がかかると発火することがあるので大切な作業である

サーモスタットの設定温度を70℃から75℃にして燻煙中画像を拡大する
サーモスタットの設定温度を70℃から75℃にして燻煙中

燻製器の扉を閉め、温度計を挿して燻煙を開始する。 サーモスタットの設定温度は70℃から75℃にしている。 電熱器とサーモスタットのおかげで温度管理がとても楽である。

1時間と少し経ったところで1本目のスモークウッドが燃え尽きた。 肉の天地をひっくり返し、2本目のスモークウッドを追加する。

燻煙開始から約2時間半で2本目のスモークウッドも燃え尽きた。 煙が消えるまで数分待ってから肉を取り出す。

燻煙後の肉画像を拡大する
燻煙後の肉

取り出した肉は...うん、いい色に仕上がっている。

燻煙後の肉の表面のアップ画像を拡大する
燻煙後の肉の表面のアップ

燻煙後の肉の表面のアップだ。 我が家の機材で燻煙すると、いつもこのような色・ツヤになる。

燻煙後の肉の脂肪の面のアップ画像を拡大する
燻煙後の肉の脂肪の面のアップ

続いて、脂肪の面のアップも。 プルプルしていて、これでポトフを作ると美味そうである

ただし、今すぐは食べない。 最低でも一晩は寝かせてから食べた方が美味いから。

  

試食

冷蔵庫で一晩寝かせたベーコンをいよいよ試食する。 いつものようにベーコンエッグにする。

ここ3ヶ月ほどは時間が取れず、ベーコンを作ることができなかった。 そのため、3ヶ月ぶりのベーコンエッグだ

冷蔵庫で一晩寝かせたベーコン画像を拡大する
冷蔵庫で一晩寝かせたベーコン

冷蔵庫から取り出した自家製ベーコンは、冷えて表面の脂が固まって白っぽくなっている。

一晩寝かせた自家製ベーコンの表面のアップ画像を拡大する
一晩寝かせた自家製ベーコンの表面のアップ

一晩寝かせたことで締まっているように見える。 いい色になっている、早く食べてみたい。

一晩寝かせた自家製ベーコンの脂肪の面のアップ画像を拡大する
一晩寝かせた自家製ベーコンの脂肪の面のアップ

脂肪の面も、昨夜よりも引き締まっているのがわかる。

スライスしてみる画像を拡大する
スライスしてみる

包丁でスライスしてみる。 うん、短めの塩漬けだけあって断面の色がきれいなままだ

余談だが、ベーコン作りをしていると欲しくなるのが電動のミートスライサーや真空パック機だ。 包丁でベーコンを薄切りにするのは大変だし、人におすそ分けする場合は真空パックにすると見栄えがよくなる。

フライパンでベーコンを焼く画像を拡大する
フライパンでベーコンを焼く

スライスした自家製ベーコンをフライパンで焼く。

焦げ目がついたら卵を足す画像を拡大する
焦げ目がついたら卵を足す

ベーコンに焦げ目がついたら卵を足し入れる

完成したベーコンエッグ画像を拡大する
完成したベーコンエッグ

3ヶ月ぶりの自家製ベーコンのベーコンエッグが完成した。 カリカリになるまで焼いた、カリカリベーコンのベーコンエッグである。

さっそく食べてみると...うん、優しい塩加減の自然な味のベーコンだ。 塩・砂糖・ブラックペッパーだけで仕込んでも十分に美味いベーコンができた。 前回のスパイスたっぷりで長期塩漬けベーコンよりも断然美味い。

  

塩・砂糖・ブラックペッパーだけで仕込むベーコンを試してみて

塩・砂糖・ブラックペッパーだけで仕込んでも十分に美味いベーコンができることがわかった。 また、後日、圧力鍋を使ってベーコン入りのポトフを作ったのだが、脂肪の部分がトロトロになってすごく美味かった

市販の安いベーコンを使うと味が抜けて旨味のないバサバサの肉の塊になるが、今回の自家製ベーコンは煮込んだ後も旨味が残っていた

次回は岩塩のみでベーコンを作ってみよう

今回は、塩・砂糖・ブラックペッパーだけで仕込んだ美味しいベーコンを作ることができた。 次回はさらに調味料を減らし、岩塩のみでベーコンを作ってみようと思う。

そもそも、ベーコン作りに砂糖が使われるのはなぜだろうか。 砂糖には脱水効果・防腐効果があるという。 つまり、塩漬け中の肉の保存性を高めるために使われるのだろうか。 それとも単純に味付けのためだろうか。

- 2023.03.02追記 - 岩塩だけで仕込むベーコン作りに挑戦してみた

後日、岩塩だけで仕込むベーコン作りに挑戦してみた。 砂糖を入れなくても美味いベーコンはできたが、『砂糖は入れない方が美味い』というほどの味ではなかった。

砂糖は入れてもいいし、入れなくてもいいかな、という印象だった。 好みの問題だと思う。

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