砂糖を使わないベーコンを作ってみる

前回は塩・砂糖・ブラックペッパーだけで仕込んだベーコンを作ったが、かなり美味しいベーコンができた。 今回はさらに調味料を減らし、岩塩のみでベーコンを塩漬けしてみようと思う。 つまり、砂糖不使用のベーコン作りだ。
使用する食材・機材
使用する食材・機材は以下の通り。 なお、塩や砂糖・キッチンペーパーやフリーザバッグ・アルミホイル・鍋やキッチンばさみなど、ほとんどの家庭で常備されているものは省略している。
- 豚バラブロック肉
- 燻製器
- スモークウッド
- ピチットシート
- トーチ
- 電熱器
- サーモスタット
準備
当然だが、必要なのは豚バラブロック肉と岩塩だ。 前回は業務スーパーで豚バラブロック肉を購入したが、今回は近くのドラッグストアで調達しようと思う。 近所のドラッグストアでには精肉売り場があり、大分県産の豚バラブロック肉が手軽な値段で販売されている。
ただし、最寄りの店舗では豚バラブロック肉は品切れだった。 そのため、他の店舗を3店舗ほど巡り、ようやく必要な量の豚バラブロック肉を揃えることができた。
計4店舗を巡り、6本で合わせて約1.5kgの豚バラブロック肉を購入した。 このドラッグストアでの前回の購入時には100gあたり148円(税込)だったが、今回はなんと208円(税込)になっていた。
最近は、食料品が何もかも高くて参ってしまう。 豚の餌となる大豆やトウモロコシの輸入価格が上がっているということだろうか。 それとも豚舎を温める暖房の燃料費の高騰が原因なんだろうか。
仕込み用の調味料には肉の重量の4%のヒマラヤ岩塩を準備した。 砂糖やスパイスは使わない。
下処理
続いては下処理を行う。 といっても、大した作業は行わない。 肉の表面・側面・脂肪の麺にフォークで穴を開けるだけである。
フォークで穴を開けるだけのつもりだったが、血合いがあったためそれを取り除く作業も行った。
塩漬け
下処理の次は塩漬けの工程だ。 まな板やバットの上で塩をまぶすと飛び散って大変なのでボウルの中で作業するのがいいだろう。
深めのボウルに肉を入れて全体にまんべんなく岩塩を振る。
肉に岩塩をすり込んでいく。 『すり込む』というよりは『揉み込む』ようにするのがいいかもしれない。 もちろん、ポリ手袋をしたままで。
岩塩をすり込んだらラップで肉を包む。 空気に触れないようピッタリと包もう。
さらにフリーザバッグに入れる。 肉から出た水分が冷蔵庫内を汚さないようにするためだ。
フリーザバッグのまま冷蔵庫に入れて3日間寝かせる。
塩抜き
続いては、最も気を使う塩抜きの工程だ。 塩抜きが足りないと塩辛くて美味しく食べられなくなるので、それだけは避けたいところだ。
3日間塩漬けした肉を冷蔵庫から取り出す。
塩漬け後の肉の色を見るといつも不安になる。 なんせ、傷んでしまったような色に見えるから。 しかし、塩漬け後はどうやってもこんな色になる。 いつものことだ。
流水で表面の塩を洗い流す。 岩塩しかすり込んでいないから、しっかりと洗い流す必要はないだろう。
洗った肉を、水を張った大きめの鍋に入れる。 底が平らな鍋の方が、塩分の抜け具合にムラができなくていい。
鍋ごと冷蔵庫に入れて4時間かけて塩抜きする。 なお、1時間ごとに水を入れ替えて、肉の上下の位置も入れ替える。
4時間経ったので肉の端を切り、フライパンで焼いて味見する。 ほとんど塩気がないぐらいになっていたら、塩抜きは終わりだ。 この段階では、不安になるぐらい薄味なぐらいでちょうどいい。
乾燥
続いては、最も重要な工程である『乾燥』だ。 肉だろうが魚だろうが卵だろうが、燻煙する際に表面に水分があると、煙と反応して酸っぱい燻製になってしまう。
塩抜きが足らずに塩辛くなったベーコンは料理にでも使えばいい。 逆に塩抜きしすぎて薄味になったベーコンは塩でも振ればいい。 しかし、酸っぱくなったベーコンはどうやっても美味しく食べられない。
酸っぱいベーコンを回避するには、しっかり乾燥させることが大切だ。
鍋から肉を取り出し、キッチンペーパーで表面の水気をしっかりと拭き取る。 なお、ポリ手袋をはめて肉に素手で触らないようにしよう。
水気を拭き取った後の肉はブヨブヨな見た目になっている。 が、脱水前はこんなもんなので心配はしていない。
脱水シート(ピチットシート)で肉を包む。 脱水シートは決して安くはないが、手間や時間を考えると便利で手放せない。
さらにフリーザバッグに入れて冷蔵庫で脱水する。 2日間ほど脱水するつもりだ。
燻煙
長かったベーコン作りだが、いよいよ最後の工程『燻煙』である。 さくらのスモークウッドを3本使って燻煙する。
2日間(約36時間)の脱水を終えた肉を冷蔵庫から取り出す。
肉の表面が飴色になっている。 きちんと脱水できている色なので一安心だ。
燻製器に収まる大きさに切り分けた肉を置く。 この燻製器は網を4枚に増やしているが、それでも満員状態である。
着火したスモークウッド(さくら)を置く。
スモークウッドにピートパウダーをかける。 香り付けだけでなく、スモークウッドの燃焼時間を伸ばす効果もあるらしい。
スモークウッド3本ぶん、約3時間半の燻煙が始まる。 なお、電熱器とサーモスタットのおかげで温度管理が自動化されるので楽である。
サーモスタットの設定は、下限温度を70℃・上限温度を75℃にしている。 なお、あくまでもサーモスタットが電熱器の電源を入れたり切ったりする温度の設定であり、燻製器の庫内の実際の温度がこの範囲に収まるわけではない。
そもそも、燻製器の庫内の温度は場所によって異なる。 サーモスタットのセンサーが検知している温度より高い場所もあれば低い場所もある。
約3時間半の燻煙を終えた肉を取り出してバットに並べる。 うーん、いつもより色が濃いように思う。
同じ季節・同じ機材・同じ燻煙時間で燻製しているのに、なぜか同じ仕上がりにならない。 それが自家製ベーコンの奥の深いところだ。 なんでかなぁ。
どう見ても焼豚にしか見えない。 そんな色になってしまった。 まあ、大切なのは味だから明日の試食を楽しみにしよう。
試食
さあ、砂糖不使用のベーコンはどんな仕上がりになっているのだろう。 いつもより美味いのか、そうでもないのか、どっちだろうか。 ベーコン丼を作って確かめてみよう。
冷蔵庫で一晩寝かせたベーコンを取り出す。 寝かせたことで締まっているように見える。
ベーコンの表面を見るとしっかりと燻されているのがわかる。 では、内部はどうだろうか。
うん、きれいな色の断面だ。 塩漬けが3日間と短かったので鮮度が落ちていないのだろう。
ベーコンを厚切りにしてフライパンで焼く。 すると、すぐに脂が溶け出してくる。 おお、美味そうな予感がする。
不思議なことだが、1つの豚バラブロック肉から作ったベーコンでも場所によって脂の溶け具合が異なることがある。 すぐに脂が溶け出してくる場所は美味しく、脂が溶け出してこない場所は臭みがある。 同じひと塊の豚バラブロック肉から作っているのに、だ。
焼いたベーコンを炊きたての白飯に乗せ、わさび醤油をかけてネギを散らす。 自家製ベーコンのベーコン丼の完成だ。
本当は焼肉のタレをかけたかったのだが、なんと賞味期限を過ぎていたため焼肉のタレは諦めた。 悲しい。
味は...うん、トロトロの脂が甘みがあって美味い。 美味いが、砂糖不使用のベーコンは丼には合わないかなぁ。 ベーコンエッグには合いそうだが。
というわけで、翌日さらにベーコンエッグも作ってみた。
うん、美味い。 ベーコンエッグには砂糖不使用のベーコンでも問題ない。 問題ないが、いつものベーコンエッグより美味い、ということもない。







































