トップ >
岩塩だけで仕込む砂糖不使用の自家製ベーコン (2023-02-24)

  

砂糖を使わないベーコンを作ってみる

 

前回は塩・砂糖・ブラックペッパーだけで仕込んだベーコンを作ったが、かなり美味しいベーコンができた。 今回はさらに調味料を減らし、岩塩のみでベーコンを塩漬けしてみようと思う。 つまり、砂糖不使用のベーコン作りだ

使用する食材・機材

使用する食材・機材は以下の通り。 なお、塩や砂糖・キッチンペーパーやフリーザバッグ・アルミホイル・鍋やキッチンばさみなど、ほとんどの家庭で常備されているものは省略している

- 必ず必要なもの -
  1. 豚バラブロック肉
  2. 燻製器
  3. スモークウッド
- 無くてもいいがあれば便利なもの -
  1. ピチットシート
  2. トーチ
- 温度管理しない(または手作業で温度管理する)なら無くてもいいもの -
  1. 電熱器
  2. サーモスタット

準備

当然だが、必要なのは豚バラブロック肉と岩塩だ。 前回は業務スーパーで豚バラブロック肉を購入したが、今回は近くのドラッグストアで調達しようと思う。 近所のドラッグストアでには精肉売り場があり、大分県産の豚バラブロック肉が手軽な値段で販売されている。

ただし、最寄りの店舗では豚バラブロック肉は品切れだった。 そのため、他の店舗を3店舗ほど巡り、ようやく必要な量の豚バラブロック肉を揃えることができた。

合わせて約1.5kgの大分県産豚バラブロック肉画像を拡大する
合わせて約1.5kgの大分県産豚バラブロック肉

計4店舗を巡り、6本で合わせて約1.5kgの豚バラブロック肉を購入した。 このドラッグストアでの前回の購入時には100gあたり148円(税込)だったが、今回はなんと208円(税込)になっていた。

最近は、食料品が何もかも高くて参ってしまう。 豚の餌となる大豆やトウモロコシの輸入価格が上がっているということだろうか。 それとも豚舎を温める暖房の燃料費の高騰が原因なんだろうか。

肉の重量の4%のヒマラヤ岩塩画像を拡大する
肉の重量の4%のヒマラヤ岩塩

仕込み用の調味料には肉の重量の4%のヒマラヤ岩塩を準備した。 砂糖やスパイスは使わない

下処理

続いては下処理を行う。 といっても、大した作業は行わない。 肉の表面・側面・脂肪の麺にフォークで穴を開けるだけである。

  
使い捨てポリ手袋をはめて、素手で肉に触らないように作業しよう。 以降の作業では肉を素手で触らないように。 もちろん、肉を傷めないため。
肉の表面・側面・脂肪の麺にフォークで穴を開ける画像を拡大する
肉の表面・側面・脂肪の麺にフォークで穴を開ける

フォークで穴を開けるだけのつもりだったが、血合いがあったためそれを取り除く作業も行った

塩漬け

下処理の次は塩漬けの工程だ。 まな板やバットの上で塩をまぶすと飛び散って大変なのでボウルの中で作業するのがいいだろう。

ボウルに肉を入れて岩塩をまぶす画像を拡大する
ボウルに肉を入れて岩塩をまぶす

深めのボウルに肉を入れて全体にまんべんなく岩塩を振る

肉に岩塩をすり込む画像を拡大する
肉に岩塩をすり込む

肉に岩塩をすり込んでいく。 『すり込む』というよりは『揉み込む』ようにするのがいいかもしれない。 もちろん、ポリ手袋をしたままで

ラップで肉を包む画像を拡大する
ラップで肉を包む

岩塩をすり込んだらラップで肉を包む。 空気に触れないようピッタリと包もう。

さらにフリーザバッグに入れる画像を拡大する
さらにフリーザバッグに入れる

さらにフリーザバッグに入れる。 肉から出た水分が冷蔵庫内を汚さないようにするためだ。

冷蔵庫で3日間寝かせる画像を拡大する
冷蔵庫で3日間寝かせる

フリーザバッグのまま冷蔵庫に入れて3日間寝かせる

塩抜き

続いては、最も気を使う塩抜きの工程だ。 塩抜きが足りないと塩辛くて美味しく食べられなくなるので、それだけは避けたいところだ。

3日間塩漬けした肉画像を拡大する
3日間塩漬けした肉

3日間塩漬けした肉を冷蔵庫から取り出す。

塩漬け後の肉の色を見るといつも不安になる画像を拡大する
塩漬け後の肉の色を見るといつも不安になる

塩漬け後の肉の色を見るといつも不安になる。 なんせ、傷んでしまったような色に見えるから。 しかし、塩漬け後はどうやってもこんな色になる。 いつものことだ。

流水で表面の塩を洗い流す画像を拡大する
流水で表面の塩を洗い流す

流水で表面の塩を洗い流す。 岩塩しかすり込んでいないから、しっかりと洗い流す必要はないだろう。

水を張った大きめの鍋に入れる画像を拡大する
水を張った大きめの鍋に入れる

洗った肉を、水を張った大きめの鍋に入れる。 底が平らな鍋の方が、塩分の抜け具合にムラができなくていい。

  
水に溶け出した塩分は下に沈むので、鍋底に網を置いて肉の位置を高くする方が塩抜きが早く進む(上の写真では網は置いていない)。
鍋ごと冷蔵庫に入れて塩抜きする画像を拡大する
鍋ごと冷蔵庫に入れて塩抜きする

鍋ごと冷蔵庫に入れて4時間かけて塩抜きする。 なお、1時間ごとに水を入れ替えて、肉の上下の位置も入れ替える

肉の端を切ってフライパンで焼いて味見する画像を拡大する
肉の端を切ってフライパンで焼いて味見する

4時間経ったので肉の端を切り、フライパンで焼いて味見する。 ほとんど塩気がないぐらいになっていたら、塩抜きは終わりだ。 この段階では、不安になるぐらい薄味なぐらいでちょうどいい

  
この時は、ちょうどいい塩加減になるまでさらに2時間の塩抜きが必要だった。

乾燥

続いては、最も重要な工程である『乾燥』だ。 肉だろうが魚だろうが卵だろうが、燻煙する際に表面に水分があると、煙と反応して酸っぱい燻製になってしまう。

塩抜きが足らずに塩辛くなったベーコンは料理にでも使えばいい。 逆に塩抜きしすぎて薄味になったベーコンは塩でも振ればいい。 しかし、酸っぱくなったベーコンはどうやっても美味しく食べられない

酸っぱいベーコンを回避するには、しっかり乾燥させることが大切だ。

キッチンペーパーで表面の水気を拭き取る画像を拡大する
キッチンペーパーで表面の水気を拭き取る

鍋から肉を取り出し、キッチンペーパーで表面の水気をしっかりと拭き取る。 なお、ポリ手袋をはめて肉に素手で触らないようにしよう

脱水前のブヨブヨの肉画像を拡大する
脱水前のブヨブヨの肉

水気を拭き取った後の肉はブヨブヨな見た目になっている。 が、脱水前はこんなもんなので心配はしていない

脱水シート(ピチットシート)で包む画像を拡大する
脱水シート(ピチットシート)で包む

脱水シート(ピチットシート)で肉を包む。 脱水シートは決して安くはないが、手間や時間を考えると便利で手放せない

フリーザバッグに入れて冷蔵庫で脱水する画像を拡大する
フリーザバッグに入れて冷蔵庫で脱水する

さらにフリーザバッグに入れて冷蔵庫で脱水する。 2日間ほど脱水するつもりだ

燻煙

長かったベーコン作りだが、いよいよ最後の工程『燻煙』である。 さくらのスモークウッドを3本使って燻煙する。

脱水を終えた肉画像を拡大する
脱水を終えた肉

2日間(約36時間)の脱水を終えた肉を冷蔵庫から取り出す。

肉の表面が飴色になっている画像を拡大する
肉の表面が飴色になっている

肉の表面が飴色になっている。 きちんと脱水できている色なので一安心だ。

燻製器の網に肉を置く画像を拡大する
燻製器の網に肉を置く

燻製器に収まる大きさに切り分けた肉を置く。 この燻製器は網を4枚に増やしているが、それでも満員状態である。

  
最下段はスモークウッドを置くため肉を置けるのは3段となる。
着火したスモークウッドを置く画像を拡大する
着火したスモークウッドを置く

着火したスモークウッド(さくら)を置く。

スモークウッドにピートパウダーをかける画像を拡大する
スモークウッドにピートパウダーをかける

スモークウッドにピートパウダーをかける。 香り付けだけでなく、スモークウッドの燃焼時間を伸ばす効果もあるらしい

燻煙中の様子画像を拡大する
燻煙中の様子

スモークウッド3本ぶん、約3時間半の燻煙が始まる。 なお、電熱器とサーモスタットのおかげで温度管理が自動化されるので楽である。

サーモスタットの設定画像を拡大する
サーモスタットの設定

サーモスタットの設定は、下限温度を70℃・上限温度を75℃にしている。 なお、あくまでもサーモスタットが電熱器の電源を入れたり切ったりする温度の設定であり、燻製器の庫内の実際の温度がこの範囲に収まるわけではない

そもそも、燻製器の庫内の温度は場所によって異なる。 サーモスタットのセンサーが検知している温度より高い場所もあれば低い場所もある。

燻煙後の肉画像を拡大する
燻煙後の肉

約3時間半の燻煙を終えた肉を取り出してバットに並べる。 うーん、いつもより色が濃いように思う

同じ季節・同じ機材・同じ燻煙時間で燻製しているのに、なぜか同じ仕上がりにならない。 それが自家製ベーコンの奥の深いところだ。 なんでかなぁ。

焼豚かと思う色になっている画像を拡大する
焼豚かと思う色になっている

どうみても焼豚にしか見えない。 そんな色になってしまった。 まあ、大切なのは味だから明日の試食を楽しみにしよう。

  

試食

さあ、砂糖不使用のベーコンはどんな仕上がりになっているのだろう。 いつもより美味いのか、そうでもないのか、どっちだろうか。 ベーコン丼を作って確かめてみよう

冷蔵庫で一晩寝かせたベーコン画像を拡大する
冷蔵庫で一晩寝かせたベーコン

冷蔵庫で一晩寝かせたベーコンを取り出す。 寝かせたことで締まっているように見える

冷蔵庫で一晩寝かせたベーコンの表面画像を拡大する
冷蔵庫で一晩寝かせたベーコンの表面

ベーコンの表面を見るとしっかりと燻されているのがわかる。 では、内部はどうだろうか。

きれいな色の断面画像を拡大する
きれいな色の断面

うん、きれいな色の断面だ。 塩漬けが3日間と短かったので鮮度が落ちていないのだろう

厚切りにしてフライパンで焼く画像を拡大する
厚切りにしてフライパンで焼く

ベーコンを厚切りにしてフライパンで焼く。 すると、すぐに脂が溶け出してくる。 おお、美味そうな予感がする。

不思議なことだが、1つの豚バラブロック肉から作ったベーコンでも場所によって脂の溶け具合が異なることがある。 すぐに脂が溶け出してくる場所は美味しく、脂が溶け出してこない場所は臭みがある。 同じひと塊の豚バラブロック肉から作っているのに、だ。

ベーコン丼の完成画像を拡大する
ベーコン丼の完成

焼いたベーコンを炊きたての白飯に乗せ、わさび醤油をかけてネギを散らす。 自家製ベーコンのベーコン丼の完成だ。

本当は焼肉のタレをかけたかったのだが、なんと賞味期限を過ぎていたため焼肉のタレは諦めた。 悲しい

砂糖不使用の自家製ベーコンのベーコン丼画像を拡大する
砂糖不使用の自家製ベーコンのベーコン丼

味は...うん、トロトロの脂が甘みがあって美味い。 美味いが、砂糖不使用のベーコンは丼には合わないかなぁ。 ベーコンエッグには合いそうだが。


というわけで、翌日さらにベーコンエッグも作ってみた

砂糖不使用の自家製ベーコンで作ったベーコンエッグ画像を拡大する
砂糖不使用の自家製ベーコンで作ったベーコンエッグ

うん、美味い。 ベーコンエッグには砂糖不使用のベーコンでも問題ない。 問題ないが、いつものベーコンエッグより美味い、ということもない。

  

岩塩のみのベーコンを試した結果

砂糖不使用でも美味いベーコンを作ることはできた。 できたが、『砂糖は入れない方が美味い』というほどの味ではなかった。 どちらも美味いので好みの問題だと思う

ただし、白飯には砂糖なしのベーコンは合わないように思う。 料理に使ったり、酒の肴であれば砂糖なしもいいかもしれないが。

次回は教科書通りの手順でベーコンを作ってみようかな

次回は、教科書通りの肉の重量の4%の岩塩 + 2%の砂糖でベーコンを作ってみようと思う。

メニュー