今年(2023年)はブラックペッパー以外のスパイスは使わずにベーコンを作っている。 前々回は塩・砂糖・ブラックペッパーだけで仕込んだベーコンを作ったし、前回は塩のみで仕込んだ。 どちらも美味かった。
今回は、岩塩・砂糖のみを使ったベーコン作りをしてみようと思う。 つまり、教科書的な手順でのベーコン作りだ。
使用する食材・機材は以下の通り。 なお、塩や砂糖・キッチンペーパーやフリーザバッグ・アルミホイル・鍋やキッチンばさみなど、ほとんどの家庭で常備されているものは省略している。
まずは必要な食材や調味料などを準備する。
大分県産の豚バラブロック肉を合わせて約1.4kg用意した。 なお、購入時には気が付かなかったが、パックを開けてみたところ脂肪の面に黒い斑点のようなものがいくつもあった。 5本購入した内の2本がそのような状態だった。
肉の重量の4%の岩塩と2%の砂糖を準備した。 なお、岩塩はヒマラヤ岩塩である。
続いて下処理を行う。 ただし、フォークで穴を開けるだけの単純な作業である。
フォークで肉に穴を開ける。 なお、脂肪の面や側面にも穴を開けている。
続いては塩漬けの工程を行う。 もちろん、冷蔵庫がある現代では保存性のためではなく調味のために行う。
用意しておいた塩と砂糖を肉にまぶす。 バットではなく深いボウルの方が塩・砂糖が飛び散らなくていい。
まぶした塩・砂糖を手で肉にすり込む。 しつこいようだが、使い捨てポリ手袋をはめてすり込もう。
さらにラップで肉を包む。 ラップで包まずに裸で塩漬けしている方もいるので、裸でもいいのかも知れないが。
ラップで包んだ肉をバットに並べる。 バットを使うのは肉から垂れた肉汁が冷蔵庫を汚さないようにするため。 フリーザバッグに入れるなら、バットは使わないくていい。
冷蔵庫に入れて1週間寝かせる。 なお、毎朝肉の天地をひっくり返す。
続いては塩抜きの工程である。 塩抜きしすぎると味気ないし、塩抜きが足りないとしょっぱくて食べられたものではない。 そう、加減が難しい。
冷蔵庫で1週間塩漬けした肉を取り出す。 ラップを剥がしてみると、うん、鮮度が落ちた色はしていない。 ただし、濃い赤色になっている部分があるのが気にかかる。
1週間塩漬けしたので肉の色が灰色になっているかと予想していたが、そんなことはなかった。 キレイな色をしてくれている。
流水で塩と砂糖を洗い流す。 スパイスを使っていないので洗い流すのが楽である。
余談だが、このシーン(流水で塩・砂糖を洗い流す場面)の撮影が難しい。 両手で肉を洗うためだ。 カメラのリモコンを持っていないのでセルフタイマーで撮影するしかない。 リモコン撮影ではリモコンボタン押し下げ時にピントが合うが、セルフタイマーではシャッターの押し下げ時にピントが合う。 つまり、シャッターを押す時には肉を持つ位置にピントを合わせておかないといけない、ということだ。
実際の撮影手順はこうである。 まず、セルフタイマーを12秒にセットする。 次に、右手にポリ手袋をはめて、左手は素手のままにする。 さらに、蛇口の下に右手をかざして左手の操作でピントを合わせる(右手にピントを合わせる)。 親指AFにしているので、シャッター半押しではなく別のボタンを押すことになる。 合焦音が聞こえたらシャッターを押し込む。 急いで左手にもポリ手袋をはめて、両手で肉を持って蛇口の下で構える。 12秒経過したらシャッターが切れる。
以上が撮影手順だが、これが難しい。 撮影した画像をチェックするとピントが合っていないことが多いのだ。 暗い室内での撮影かつ、カメラがフォーサーズ機のE-520なのでISO感度は200が限界となる(ISO 400以上ではノイズが出る)。 よって、ブレを防ぐには絞りを開放するしかない。 そのため、被写界深度が浅くなり、結果ピントが合わないのだ。 もともとフォーサーズ機はAF性能は悲しいほど貧弱だ。 なんたって愛機E-520はテーブルに置いているタマゴでピントが迷うのである。
リモコンがあれば、もっと楽に撮影できる。 右手で肉を持ったまま左手でリモコン操作すればいいだけだ。 リモコンをラップで包んでおけば防水できるから左手にもあらかじめポリ手袋をはめておける。
そこで、リモコンを手にれようとネットで調べてみた。 すると、どういうわけかリモコンの外観に見覚えがある。 デジタル一眼レフの前に使っていたコンパクトデジカメ CAMEDIA C-3030ZOOMのリモコンに似ているのだ。 型番を調べてみると...同じだ。 やった、CAMEDIA C-3030ZOOMのリモコンが使えるぜ。 ありがとうオリンパス、互換性を維持してくれて。
話が脱線してしまったので本題に戻ろう。 塩抜きの作業の話だった。
大きめの鍋に水を張り、塩・砂糖を洗い流した肉を入れる。 底が平らな鍋の方が塩加減にムラができないのでオススメである。
鍋ごと冷蔵庫に入れて4時間かけて塩抜きする。 なお、1時間おきに水を入れ替え、また肉の上下も入れ替える。
4時間経過したので肉の端を切ってフライパンで焼いて味見する。 ほとんど塩気を感じない丁度いい加減だったので、塩抜きは終了して次の工程へ進む。
続いては乾燥の工程だ。 この工程も塩抜きと同じぐらい大切であるが、ピチットシート(脱水シート)を使うので難しいことはない。
キッチンペーパーでできるだけ水分を拭き取る。 なお、この写真もセルフタイマーでの撮影だが、肉をまな板に置いた状態でピント合わせできるので苦労はしない。
塩抜き後の肉の表面はブニョブニョ感があるが心配はいらない。 傷んでいるわけではない。 どうやってもこのような見た目になるのだ。
脱水シート(ピチットシート)で肉を包む。 ピチットシートは安くないため、キッチンペーパーで包んでこまめに交換する、という方法でもいいかもしれない。
バットに乗せて冷蔵庫で2日間かけて脱水する。
いよいよ最後の工程の燻煙である。 さくらのスモークウッドを2本使う予定だ。
2日間ピチットシートで脱水した肉を取り出す。 うん、いい感じだ。 ただ、濃い赤色になっている部分があるのがやっぱり気になる。
表面は飴色でサラサラに乾いているが中には水分があるように見える。 うん、合格だ。
肉を切り分けて燻製器の網に乗せる。 満席だね。
さくらのスモークウッドにトーチで着火し、燻製器の底に置く。 2本目のスモークウッドはまだ燻製器内には入れない。
肉から垂れた脂がスモークウッドにかかると発火することがあるので、防止のためアルミホイルを被せる。
燻製器の扉を閉め、サーモスタットのセンサーを燻製器に挿して燻煙を開始する。 写真ではわかりにくいが、後ろのタオルとは距離は取ってある。
サーモスタットの設定は、下限温度を70℃・上限温度を75℃にしている。 なお、この設定は電熱器がオン/オフされる温度であり、燻製器内がこの温度に収まるわけではない。
1本目のスモークウッドが短くなったところで、2本目のスモークウッドを燻製器内に置く。 約3時間で2本目のスモークウッドも燃え尽きた。
燻煙を終えた自家製ベーコンをバットに置く。 うん、いい感じの色になっている。
普段はスモークウッドを3本使うことが多いが、その場合はもっと色が濃く仕上がる。 今回はスモークウッドが2本だったので、やや色が優しいかな。
ベーコンはすぐに食べても美味しくない。 一晩寝かせることにする。
待ちに待った試食である。 教科書通りのオーソドックスな手順で作った自家製ベーコンは果たして美味いのか。
冷蔵庫で一晩寝かせた自家製ベーコンを取り出す。 うん、いい色だ。
スモークウッドを3本使った時よりも薄い色をしているが、これくらいで丁度いいのかもしれない。
包丁で切ってみる。 うん、断面の色もいいじゃないか。
切り分けたベーコンをフライパンで弱火でじっくりと焼き、カリカリになったところで玉子を割り入れる。 ベーコンから出た脂で玉子が揚げ焼きされている。
自家製ベーコンで作るベーコンエッグの完成だ。 カリカリでとっても美味い。 美味いが、少しだけしょっぱいかなぁ。 塩抜き後の味見に問題があったんだと思う。 歯を磨いた直後に味見したから。
少しだけしょっぱかったが、それ以外は問題なかった。 ブラックペッパー以外のスパイス(オレガノ・タイム・ローズマリー・バジル)を使っていた頃よりは美味いベーコンができている。