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デカいプリンを作りたい(バケツプリンならぬボウルプリン) (2022-02-12)

  

でっかいプリンを目指せ!!

 

誰もが1度は憧れるであろう "バケツプリン" は、実際に作るのは難しい。 プラスチック製のバケツだとカラメルの熱で溶けるだろうし、オーブンで焼くことも出来ない。 かといって、金属製のバケツは高くて手が出せない。

冷やし固めたカラメルを底に置き、蒸して固めるならプラスチック製バケツでも良さそうだが、そもそも大きすぎて蒸しても固まらないだろう。

寒天やゼラチンで作るカラメル無しのプリンならプラスチック製バケツでも良さそうだが、それじゃ納得できない。 原材料は牛乳・卵・砂糖・バニラエッセンスだけにしたい。 ちゃんと "蒸す" または "焼く" で作ったプリンを食べたい。

そこで今回は "ボウル" でプリンを作ることにした。 金属だからカラメルを入れても溶けないし、新たに購入する必要もない。 バケツに比べれば小さいから蒸して固めることもできるかもしれない。

使用する食材・機材

使用する食材・機材は以下の通り。 なお、塩や砂糖・キッチンペーパーやフリーザバッグ・アルミホイル・鍋やキッチンばさみなど、ほとんどの家庭で常備されているものは省略している

- 食材 -
  1. 牛乳1リットル
  2. 卵8個
  3. 砂糖100g
  4. 砂糖150g
  5. バニラエッセンス
- 機材 -
  1. フードプロセッサ
  2. オーブン

過去の栄光と挫折(固まらないプリンとの戦いの歴史)

いきなり話は逸れるが、筆者はプリン作りに数多く失敗してきた。 最初の頃に作ったプリンはとても美味しかった。 『これなら店で買わなくていいぜ』と思った。

しかし、だんだんとプリンが固まらなくなった。 表面だけ固まるが中身が固まらないのだ。 恥を忍んでGoogle先生に尋ねると、

  1. 加熱温度が低い
  2. 加熱時間が短い
  3. 卵の量が少ない

のどれかだと教えてくれた。 でもどれも当てはまらない。 牛乳1リットルに卵を10個使っても固まらない。 オーブンで2時間焼いても固まらない。 温度はもちろん教科書どおりだ。

そんな固まらないプリンとの戦いだったが、ある日突然謎が解けた。 卵白が足りなかったのだ

最初の頃はザルでプリン液を濾していた。 しかし、いつの頃からか粉ふるいで濾すようになった。 理由は、色気づいて "なめらかプリン" を目指してしまったためだ。 粉ふるいでは目が細かすぎて卵白はふるいに残されてしまう。 つまり、卵白を捨てていたのだ

プリンが加熱されて固まるのはタンパク質の凝固作用だ。 タンパク質は卵白には多く含まれているが、卵黄に含まれるタンパク質は多くない。 つまり、卵白が少ないとプリンは固まりにくくなるのだ。

もう少し詳しく書こう。 卵は卵黄と卵白に分かれるが、卵白はさらに2つに分かれる。 目玉焼きを作る時などに観察するとわかりやすいが、卵白にはサラッとした部分とドロっとひと塊になっている部分とがある。 プリン液を濾す時に、このドロっとひと塊の部分がふるいに残されてしまうのだ。 それを捨てていたためプリンが固まらなかった。

つまり、"卵の量が少ない" というGoogle先生の指摘は正しかった。 牛乳1リットルに卵を10個使ったつもりになっていたが、実際にはそんなに使っていなかったことになる。

プリンが固まらない原因がわかってからは、失敗することはなくなった。 粉ふるいをやめてザルで濾すようにした。 また、卵をフードプロセッサで切り刻んでからプリン液を作るようにした。 その結果、卵白がザルにほとんど残らなくなり、プリンがよく固まるようになった。

準備

ではプリン作りを始める。 まずは必要な食材や機材を準備する。

牛乳・卵・砂糖・バニラエッセンス画像を拡大する
牛乳・卵・砂糖・バニラエッセンス

牛乳は "無調整牛乳" ではなく "特濃" にした。 だから正確には種類別は乳飲料ってことになる。 牛乳と変わらない値段だったし、乳脂肪分が高いほうがコクが出そうなので

卵は8個使う予定だ。 10個入りパックで(特売でなく通常価格で)119円だったかな。 鳥インフルエンザの影響か数ヶ月前は近所の最安値が169円まで上がっていたが、最近は値段も下がってきているようだ。

砂糖はカラメルソース用に100g + プリン液用に150gを用意した。 グラニュー糖なんて高価なものではなく上白糖である。 余談だが、世界的には砂糖といえばグラニュー糖が一般的であり、上白糖はほぼ日本でしか使われないとか。 ちなみに、上白糖はグラニュー糖に転化糖をまぶしたものらしい。 上白糖の方が工程が1つ多いってことだ。 なのになぜグラニュー糖の方が価格が高いんだろうか。 三温糖にいたっては、グラニュー糖や上白糖を取り出した後の残り液から作ると聞く。

バニラエッセンスといえば明治屋が有名だが、我が家はなぜかマコーミック(ユウキ食品)だ。 普段は明治屋の製品を使っているのだが、なぜか妹がマコーミックを買ってきた。 まあ、どこのバニラエッセンスでもいいので文句はないが。

卵白を切り刻むためのフードプロセッサ画像を拡大する
卵白を切り刻むためのフードプロセッサ

フードプロセッサは卵白を細かく切り刻むために使う。 手作業では、どれだけヘラで切るように混ぜても卵白のドロっとひと塊の部分はなかなか切れない。 それだと濾した時に卵白がザルに残ってしまい、プリンが固まりにくくなる。

卵白が減ってしまい固まらない、という過去の失敗は繰り返したくない。 特に今回は大きいプリンを作る予定なので、卵白はできるだけ残したい。

プリン容器の内側にマーガリンを塗る画像を拡大する
プリン容器の内側にマーガリンを塗る

プリン容器となるボウルの内側にバターを塗る。 まあ、正確には雪印メグミルクのネオソフトだが。

  
『マーガリンはトランス脂肪酸が多いため体に悪い』と敬遠されがちだが、最近の多くのマーガリンはトランス脂肪酸はすごく少ないようだ。 メーカがトランス脂肪酸の低減に積極的に取り組んでおり、かつてのマーガリンに比べるとトランス脂肪酸の量は15分の1程度のものもある。 バターよりもトランス脂肪酸が少ないマーガリンも珍しくないとのこと。
鍋で湯を沸かしておく画像を拡大する
鍋で湯を沸かしておく

鍋で湯を沸かしておく。 プリンを蒸すための湯を、今のうちから準備しておくってことだ。 プリン液を作ったらすぐに蒸したいので。

カラメルソース作り

続いてはカラメルソース作りだ。 これが無くては "プリン" とは呼べないだろう。

砂糖と同量の水を火にかける画像を拡大する
砂糖と同量の水を火にかける

砂糖100gと同量の水を鍋に入れて火にかける。 砂糖だけという方法もあるが、水を入れたほうが我々素人には失敗しにくいように思う

砂糖水が煮立ってくる画像を拡大する
砂糖水が煮立ってくる

砂糖水が煮立ってきた。 水を入れているため、色が変わるまでにはまだ時間がかかる。

いい色になったら熱湯を注ぎ入れる画像を拡大する
いい色になったら熱湯を注ぎ入れる

いい色になったので熱湯を注ぎ入れる。 大さじ1・2杯の熱湯を入れればいいだろう。

プリン容器にカラメルソースを入れる画像を拡大する
プリン容器にカラメルソースを入れる

プリン容器のボウルにカラメルソースを入れる。 ちょっと煮詰めすぎたかもしれないな。 大人向けの "ほろにがカラメルソース" になりそうだ。

湯を入れて火にかけてカラメルを溶かす画像を拡大する
湯を入れて火にかけてカラメルを溶かす

鍋にこびりついたカラメルは、湯を入れて火にかけておけばきれいに溶ける。 というのは誰でも知っていることだろうが、筆者は最初のプリン作りの時に途方に暮れた。

冷蔵庫でプリン容器を冷やす画像を拡大する
冷蔵庫でプリン容器を冷やす

容器を冷蔵庫に入れて冷やす。 カラメルを冷やしておいた方が蒸す時にプリン液と混ざらなくていい。

プリン液作り

では、いよいよプリン液作りだ。 やることは簡単で、牛乳と卵と砂糖を混ぜるだけだ。 ただ、卵白がザルに残らないように細かく切り刻む必要がある

卵をフードプロセッサに割り入れる画像を拡大する
卵をフードプロセッサに割り入れる

卵8個をフードプロセッサに割り入れる。 卵黄が時計の文字盤のようにキレイに並んでいる。 なんだかちょっとだけ嬉しい。

フードプロセッサで卵を切り刻む画像を拡大する
フードプロセッサで卵を切り刻む

卵白を切り刻むため、数十秒間だけフードプロセッサをスイッチオンする。 泡立てたくないのでブレードはメタルブレードである。

切り刻んだ卵をボウルへ移す画像を拡大する
切り刻んだ卵をボウルへ移す

切り刻んだ卵をボウルに移す。 泡立てたくなかったが、少し泡立ってしまったようだ。

砂糖を加えてよく混ぜる画像を拡大する
砂糖を加えてよく混ぜる

ボウルに砂糖150gを加えてヘラでよく混ぜる。

牛乳を鍋で50℃に温める画像を拡大する
牛乳を鍋で50℃に温める

牛乳を鍋で50℃に温める。 牛乳を温める理由はプリンを早く固めるため。 冷たいプリン液だと固まる前に分離してしまう可能性がある。

温めた牛乳をボウルへ加える画像を拡大する
温めた牛乳をボウルへ加える

温めた牛乳をボウルに注ぎ入れる。 砂糖を溶かすためここでしっかりと(泡立てないように)混ぜる。

バニラエッセンスを加える画像を拡大する
バニラエッセンスを加える

さらにバニラエッセンスを加え、ヘラでよく混ぜる。 バニラエッセンスの量は適量(=適当)だ。

ザルでプリン液を濾す画像を拡大する
ザルでプリン液を濾す

よく混ぜたプリン液を濾し、余計なものを取り除く。 フードプロセッサで細かくしたとはいえ、粉ふるいだと目が細かすぎて卵白が残りやすい。 ザルで濾すのがオススメだ

ザルに残った卵白画像を拡大する
ザルに残った卵白

ザルにはある程度の卵白が残ってしまう。 まあ、このぐらいはしょうがない。

プリン容器にラップをする画像を拡大する
プリン容器にラップをする

プリン容器にラップを被せ、輪ゴムをかける。 実はプリンを蒸す時はラップはしない方がいいらしい。 でもこの大きさなのでラップをしないとボウルの中心の温度が上がらなさそうなのでラップをしている。

低温調理器で加熱する(85℃で1時間)

ようやく肝心の蒸しの工程に入る。 今回は低温調理器を使って85℃で1時間加熱する。

当初は電熱器とサーモスタットを使って鍋で加熱する予定だった。 しかし、600Wの電熱器だと湯の温度は上がるどころか少しずつ下がっていった。 そこで電熱器から低温調理器に切り替えたのだが、その準備に手間取ってしまい蒸し始めるまでに時間がかかってしまった。

低温調理器で加熱中画像を拡大する
低温調理器で加熱中

低温調理器で85℃で1時間の調理が始まった。 プリン液を作ってから蒸し始めるまでに随分と時間がかかった。 低温調理器の準備に手間取ったためだ。 プリン液は分離してしまったかもしれない

1時間後、プリンは周りしか固まっていない。 しかも予想通りプリン液は分離している。 そこで温度を95℃に上げてさらに2時間加熱してみた。

水温が95℃に達してから2時間後、プリンはまだ固まらない。 ボウルの中の温度を計ってみると、周りで78℃、中心は56℃しかない。

この瞬間に理解した。 オーブンじゃなきゃこのプリンは固まらないことを。 悲しい。 こんな悲しいことはない

  
直径は大きいが、高さがないため蒸して固められると予想していた。 水に浮くので底からも加熱されるし。
低温調理後のプリン画像を拡大する
低温調理後のプリン

低温調理はここで中断する。 プリンは清々しいほどに固まっていない。 いやあ、久しぶりに失敗したな。 夏ならアイスクリームメーカに投入してプリン風アイスクリームにしたところだが、今は2月でアイスクリームメーカの容器は冷えていない。

卵白はたくさん入っているはずだから悪いのは加熱だ。 ちゃんと加熱さえしてやれば固まるはずだ、コイツは。

オーブンで蒸し焼きにする(160℃で30分)

低温調理は諦めてオーブン(ガスオーブン)で蒸し焼きにすることに。 低温調理器は肉を柔らかく調理するのには便利だが、水で調理する仕組みである以上100℃より高い温度では調理できない。 プリンには向いていないってことか。

オーブンで160℃で30分蒸し焼きにする画像を拡大する
オーブンで160℃で30分蒸し焼きにする

水を張った天板にプリン容器を乗せてオーブンへ入れる。 オーブンで160℃で30分蒸し焼きにする。

なんとか固まったプリン画像を拡大する
なんとか固まったプリン

30分後、プリンを取り出す。 プリンはなんとか固まってくれたようだ。 周囲が焦げているのがいつもと違うところだ。 金属容器だから焦げたのかな。

  

試食

ここまで6時間もかかったのだ。 楽しませてくれよ。

完成したプリン画像を拡大する
完成したプリン

完成したプリンを器に盛る。 見た目はプリンではなく麻婆豆腐という感じだが味はどうだろう。

見た目に反して美味いプリン画像を拡大する
見た目に反して美味いプリン

うん、美味い。 見た目は最悪だが、味には全く問題ない。 昔ながらの牛乳・卵・砂糖・バニラエッセンスだけで作ったプリンの味だ。 そういえば昔のプリンはこんな味だった。 『なめらかプリンなんてク◯喰らえ』だ。

ただ、ちょっと甘すぎるかな。 もう少し砂糖を減らしても良さそうだと感じた

  

反省

低温調理器を使わず、最初からオーブンで蒸し焼きにしていればどうなっていただろうか。 見た目がキレイなプリンが出来たのだろうか。 それはわからないが、次回のプリン系スイーツは "プリン" ではなく "プリンケーキ" を作ろうと思う。

ま、それは当分先の話だろう。 なんせ、今回作ったプリンは2人で1回で食べてしまった。 しばらくプリンは食べたくない。 口の中が甘ったるくて気分が悪い。

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