今回は、業務スーパーの激安スパイスで仕込むベーコンを作る。 目的は、業務スーパーの激安スパイスの実力を見ることだ。 つまり、今回はスパイスが主役と言えるかもしれない。
実は、今年(2023年)のこれまでのベーコン作りでは、ブラックペッパー以外のスパイスは使わないことが多かった。 去年(2022年)までは、オレガノやローズマリー・タイム・バジルも使ってベーコンを作っていたが、それほど美味しくなかったからだ。 市販のベーコンよりは美味いが、ビックリするほどではなかった。
そこで今年からは、ブラックペッパー以外のスパイスを使うのをやめた。 そして、出来上がるベーコンは今までより美味しくなった。
ただし、一つだけ気になることがあった。 それは、
ということだ。 なんせ、使っていたスパイスはS&BやGABANの1/4ほどの価格の業務スーパーの激安スパイスだったのだ。
そういうわけで、前回はGABANのスパイスを使ってベーコンを作ったのだが、しっかり美味しいベーコンが出来上がった。
ただし、業務スーパーの激安スパイスが悪かった、という結論はまだ出せない。 というのも、激安スパイスを使っていた頃は、実はバジルも入れていた。 オレガノ・ローズマリー・タイム・バジルの4つを使っていたのだ。
バジルには特有の臭みもあるので、それがベーコンには合わなかった可能性もある。 燻製上級者の方々の作るレシピを見てもバジルを入れていることはほとんどない。
つまり、悪いのは激安スパイスではなく、バジルを入れていた自分ではないのかということだ。
そういう経緯があり、今回のベーコン作りは業務スーパーの激安スパイスの実力を確かめる、ということが主な目的となっている。
使用する食材・機材は以下の通り。 なお、塩や砂糖・キッチンペーパーやフリーザバッグ・アルミホイル・鍋やキッチンばさみなど、ほとんどの家庭で常備されているものは省略している。
まずは、準備からだ。 まあ、豚バラブロック肉とスパイスを用意するだけだが。
なくてはならないのが豚バラブロック肉だ。 米国産で計約1kgである。 精肉店に行く習慣がないので、行きつけの近くのスーパーで買った。
続いて、主役の業務スーパーの激安スパイスである。 いわゆる大袋コーナーに陳列されている商品で、S&BやGABANが置かれている通常の棚には置かれていない。
岩塩・砂糖・スパイスをブレンドする。 肉の重量の4%のヒマラヤピンク岩塩と2%の砂糖、オレガノ・ローズマリー・タイムを各2gずつ、ブラックペッパーを適量混ぜている。 なお、ブラックペッパーは挽いたものとホールのものを混ぜている。
毎回苦労するのが、岩塩をミルで挽く作業だ。 ブラックペッパーならともかく、岩塩に挽きたてならではの美味さや風味ってあるのだろうか。 いつも岩塩を挽くのが大変なので、次回からは粉末の岩塩を買おうかと思っている。
毎回約40gもの岩塩を挽くのはもう嫌になった。
続いての工程は下処理である。 一般的には、
という作業を行うが、自分の場合は穴開けしかしない。 あまりにも脂肪が多いものは購入時に避けているし、そもそもスジの多い豚バラブロック肉など今時は売られていないだろう。
肉の表面・側面・脂肪の面にフォークで穴を開ける。 目的は、岩塩・砂糖・スパイスを染み込みやすくするためだが、フォークで穴を開けることで食味も良くなるように思う。
続いては塩漬けである。 冷蔵庫という文明の利器がある現代では、保存性のためというよりは調味が主な目的だろう。
深いボウルに肉を入れ、あらかじめブレンドしておいた岩塩・砂糖・スパイスをまぶす。 バットだと調味料が飛び散りやすいので深さのあるボウルを使うのがオススメだ。
肉に岩塩・砂糖・スパイスをすり込む、というか揉み込んでいく。 味にバラつきが出ないよう、全体に調味料が行き渡るようにしよう。
塩・砂糖のどちらの効果なのかはわからないが、肉からかなりの量の水分が出ている。
裸のままフリーザバッグに入れる。 ラップに包んだりはしない方が調味料が均等に行き渡りそうなので裸にしている。
冷蔵庫で4日間寝かせる。 なお、毎朝天地を入れ替える。
次の作業は塩抜きだ。 塩抜きが足りないとしょっぱいベーコンになるし、抜きすぎると味がなくなる。 加減が難しい工程である。
塩漬けを終えた肉をフリーザバッグから取り出す。 見ての通り色が悪くなっているが心配はない。 塩漬け直後は毎回こんなものである。
なお、表面がネバネバしていたり、腐敗臭がしていれば話は別でる。 そうなると傷んでいる証拠であり、捨てるしかない。
こんな見た目でも大丈夫だ。 ネバネバしていないし、変な匂いもしていない。
流水で岩塩・砂糖・スパイスを洗い流す。 神経質になる必要はなく、表面にスパイスが残っていても問題ない。
底が平らな大きな鍋に肉を入れて水を張る。 水に溶け出した塩分は下に沈むため、底が平な方がムラが出にくい。
鍋ごと冷蔵庫に入れて4時間かけて塩抜きする。 なお、1時間ごとに水を入れ替え、さらに肉の天地も入れ替える。
4時間経ったので肉の端を切ってフライパンで焼き、塩加減を確かめる。 あまり塩味がしない丁度いい塩加減だ。
続いては、最も大切な工程の乾燥だ。 表面が乾燥していない食材を燻すと酸っぱくなる。 だから、乾燥はとても大事だ。
まずはキッチンペーパーで水分を拭き取る。 大量のキッチンペーパーを消費することになるが、ここでケチると失敗するので惜しみなく使おう。
塩抜き直後の肉は、表面がブヨブヨしていて正直見た目は気持ちが悪い。 でも傷んでいるわけではないし、乾燥後は飴色になっているので心配いらない。
脱水シート(ピチットシート)で肉を包む。 ピチットシートは決して安くはないが、あれば便利である。
バットに乗せて冷蔵庫で2日間かけて脱水する。 脱水シートを使わない場合はキッチンペーパーで巻いた状態で冷蔵庫に入れて脱水させればいいが、その場合には3・4日かかるかもしれない。
いよいよメインイベントの燻煙だ。 煙が目に染みて涙が出ることもあるが、それでも楽しい工程である。
冷蔵庫で2日間かけて脱水した肉を取り出し、ピチットシートを外す。 うん、しっかり脱水できているようだ。
表面は乾いているが内部に水分を含んでいるのがわかる。 さらに、肉の表面の色が飴色だ。 うん、ちゃんと脱水できている。
燻煙機の底にアルミホイルを敷き、網に肉を置く。 底にアルミホイルを敷くのは、電熱器に脂が落ちないようにするため。
スモークウッドに火を着けて燻製器内に置く。 さらにピートパウダーをふりかける。
スモークウッドにもアルミホイルを被せる。 肉から垂れた脂がかからないようにするためだ。
燻製器の蓋を閉めて燻煙を開始する。 サーモスタットの上限温度は70度で加減温度は75度にしている。
スモークウッド2本分、約4時間で燻煙は終了した。 完成した自家製ベーコンの色はいつもと変わらないように思う。
いつも思うことだが、燻煙直後のベーコンから漂ってくる匂いは最高だ。 今すぐ食べたい、という気持ちを抑えるのが大変なほどの良い匂いがする。
さあ、いよいよ試食の時間だ。 業務スーパーの激安スパイスの実力やいかに。
冷蔵庫で一晩寝かせた自家製ベーコンを取り出す。 うん、いい色だ。
表面で固まっている脂がいつもより少ないように思う。 夏ということもあり、燻製器内の温度の高さで脂の溶け出しが多かったんだろう。
断面の色もいつもと同じで変わったところはない。 ここまでのところ、いつもと変わらない。
スキレットでベーコンを焼く。 じんわりと食欲をそそる匂いが漂ってくる。
肉がある程度焼けたところで卵を割り入れる。
自家製ベーコンで作るベーコンエッグが完成した。 見た目は合格だが、果たして味はどうだろうか。 業務スーパーの激安スパイスはいい仕事をしてくれているだろうか。
いただきまーす。 うん、ちゃんと美味い。 バジルを使っていた頃のような臭みはないし、旨味・風味も感じられる。
業務スーパーの激安スパイスで仕込んだベーコンは普通に美味しかった。 そうか、以前のベーコンがそれほど美味しくなかったのは、業務スーパーの激安スパイスの質ではなく、バジルを入れていたことが原因だったようだ。
ただし、前回のGABANのスパイスで仕込んだベーコンの方がちょっとだけ美味いような気もする。 と言いたいところだが、変わらないようにも思える。